方言、イントネーションの使い分け。なまっていたら声優はできない。

昨年、ワークショップメンバーさんとボイスドラマを作りました。

台本から読み取れるストーリーの内容から
立ち位置、それぞれのキャラクターの性格、背景など
を考えながら立ってもらい、
舞台の練習をしているかのような風景でやってました。

 

ある程度の距離感はそこで出せたのですが、
実際に本番でマイク前に立った時になかなかうまくいかないもので、
まずマイクの特性上、それぞれの音の入りがどのくらいなのかとか、
どのくらいの声を出せば適切に声が乗るかとか、
考えることはたくさんありました。

 

その中で今回話したいのが方言、イントネーションです。

なかなかイントネーションを変えるのは難しいです。

それで慣れてしまっていると、
たとえ、

「その言葉のイントネーションが違っているので、こういうふうに変えましょう」

と言っても、なかなか変わらないこともあります。

 

いままでその言葉で生活してしまっているので、
イントネーションが違うといわれても
なぜ違うのか気づくことがなかなか難しいのです。

これは仕方がないことで、
方言が身についてしまっている人は誰もが通る道です。

あとは自分自身でイントネーションは変えないと、
というふうにひとつひとつ努力していくしかないでしょう。

声優を目指している人は方言を直す必要がある

声優を目指している人で
方言がなかなか直らないと言っている人がいますが、
そのままではダメで直さなければなりません。

これは方言を全て捨て去るということではなく、
ちゃんとしたイントネーションを身につけるということです。

 

方言は演技をする上でのひとつの引き出しとして
できるようにしておけば、
それが自分のチャームポイントにもなりますし、
方言ができるおかげでお仕事が舞い込んでくることもあります。

 

声優になるということは
イントネーションに非常に敏感にならなければなりません。

そのくらいイントネーションは大切なものなのです。

方言を直していかないといけない理由

まず演じるということで言えば、
自分ではない誰かの人生を表現していくことになります。

声優は個性も大事で
いかに自分らしく自分の価値を確立していけるか
ということもありますが、
演技となると話は別で自分というものを
『排除』していかなくてはなりません。

 

演じるキャラクターによって、
自分をどんどん変えていく必要がありますし、
そのキャラクターに自分の色が出すぎてしまうと、
キャラクターの持っている大切な物語の流れを
壊してしまうこともあり得るのです。

 

だから、イントネーションが曖昧なんていうのは
話にならないレベルで
合わせることが出来て当たり前という基準で見られます。

そりゃそうですよね?

声優は言葉を扱う“プロ”ですから、
そういった意識で現場に臨んでいる業界なのです。

ナレーションやCMは標準語が必須条件

声優というと、アニメや舞台といった
役を演じることばかりが目につきますが、
そのほかのお仕事として、

『ナレーション』や『CM』

といったお仕事もあります。

 

これらはキャラクターのセリフとは違い、

『誰が聞いてもはっきりとわかる言い方』

が求められてきます。

 

そこで求められるのが、『標準語』です。

もちろん、地域密着型のコンテンツだったり、
地方の番組で制作側の意図した演出というものでない限り、
ナレーションに求められるのは標準語です。

 

そのため、標準語のイントネーションが
どういったものなのか的確に覚え、
自分の中でこの言い方が標準語であると理解しておく必要があります。

普段から直そうという意識を持ち『音の違い』を覚える

方言がどうしても出てしまう方は、
普段からしゃべり方に気を付けるというふうに
意識していくことも大切ですが、
いざ、現場に出たときに

「その言葉、イントネーション違うから直して」

と、注意を受けた時に
瞬時に変えることができるようにならないといけません。

 

それができるようになるためには、

『音の違い』

を理解していくことが大事です。

 

言葉につくアクセントというのは、
一音一音が音の高低をもっています。

つまり、どの音を高く、どの音を低く言うのか?

自分で考えてみるとわかりやすいかもしれません。

 

その判断をするのに声優さんが参考にしているものが、
以前の記事にも書きました
アクセント辞典を活用することです。

《参考記事》

⇒ アクセント辞典!声優志望者の必須アイテムです。

⇒ 日本語アクセント辞典。声優志望の方向け特徴と選び方。

 

オーディションなどで台本をもらった際に、
アクセントが何だかわからなくなってしまったら、

『アクセント辞典で確認する』

という作業を声優さんはみんなやっています。

 

もちろん、台本をもらったらその内容も含め
細かくチェックしていくのが当たり前ですから、
読めない漢字もあったら読めるようにしていきます。

 

これは養成所でも同じです。

次回にやるレッスン用の台本をもらったら、
その時までに台本を読み込み、
漢字やイントネーションをチェックする。

これでもし漢字が読めないとかあったりしたならば、
講師の先生から「前回渡したのになにもやってこなかったのか」
というふうにお叱りを受けてしまうことでしょう。

アクセント辞典通りにはいかない声優のお仕事もある

ただ、あくまでアクセント辞典に乗っている言い方が基準であって、
その通りに演じる必要もない現場もあったりします。

例えば、アニメでよくある学園モノとかだと、
今時の若者言葉の方がリアリティが増すので、
そちらを重視する場合は、アクセント辞典とは違う読み方になります。

 

例えば、「彼氏」「美人」といった言葉があげられます。

本来なら、「か(↑)れ(↓)し(↓)」なのですが、
平らなアクセント(平板化)で発音されると、

「か(↓)れ(↑)し(↑)」

というアクセントに変化します。

ギャルがよく使っている言葉と言えばわかりやすいかと思います。

 

同様に、「び(↑)じ(↓)ん(↓)」なのですが、
平板化になると

「び(↓)じ(↑)ん(↑)」

となります。

 

こういったかたちで、本来のアクセント通りでなくても、
よりリアルを求める作品を作るということになれば、
平板化された言葉が使われる声優の現場も増えてくるというわけです。

これは先に述べたナレーションの現場ではあまりみられませんが、
「役を演じる現場」だとよくあることです。

方言は“使えない”のではなく“使い分け”ていく

この記事のはじめの方に「方言は直していく」と書きましたが、
実際の感覚としては「使い分けていく」という方向に
シフトしていってもらえたらいいと思います。

 

方言が武器になる仕事もあったりしますからね。

その方言を無理にしゃべってもらう役者さんよりかは、
やはり元から自然にしゃべれることができる人
をキャスティングしたいものですからね。

 

また同様なこととして、外国語がしゃべれるのは強みになります。

英語や中国語といった言語をしゃべれるのなら、
そういった役が来た際にキャスティングされやすくなるでしょう。

 

あとは声質がいい人、要はいい声の持ち主の人は
かなりのアドバンテージがあると思います。

いい声はやっぱり求められてますからね。

なまっているのは逆に引き出しが増えるチャンスだと思い、
これからアクセントを覚え、
演じ分けができるように努力していきましょう。

 

⇒《合わせて読みたい》演技力をつけるには?声優に必要な基礎演技力を知る

⇒《合わせて読みたい》腹式呼吸トレーニング。魅力的な声を手に入れよう。

⇒《合わせて読みたい》本気でプロの声優を目指す!声優志望の初心者が知っておいて欲しいこと

⇒《合わせて読みたい》声優になるには東京に引っ越して来ないとダメなのか?

⇒《合わせて読みたい》演技と自己解放。感情をさらけ出して表現する。

 

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